おはなし わたぼうしの皆さん(2011年2月)
おはなし わたぼうし
平成22年、藤野地区で発足し、子ども達を対象にパネルシアターによる読み聞かせのボランティア活動に取り組んでいます。発足間もないにも関わらず藤野地区だけでなく近隣地区でも引っ張りだこです。代表の小池としみさんにお話を伺いました。
子育てをしながら楽しんで活動しています!
活動のきっかけを教えてください
代表の小池としみさん |
きっかけは学校統合により平成18年に新たに開校した藤野北小学校で、私が個人的にボランティアとして読み聞かせを始めたことです。当時の大澤教頭先生がパネルシアターに取り組んでいることを耳にし、興味深く思い、以前より現場を拝見したいとお願いしていました。その頃、藤野北小学校では「私の宝物」を発表しあうという取組みをしており、大澤先生がその発表でパネルシアターを披露された際に、私も拝見することが出来ました。その時「これは夫婦の手作りで各地を上演してきた私の宝物です。
これからは小池さんにバトンタッチします」と言って、先生の宝物のパネルシアターのイーゼルやパネルボードなど舞台一式を私に譲ってくださったのです。“宝物”を譲り受け、大澤先生のお気持ちを無にしないよう、継承していきたいと強く思い、手探りでしたが個人での活動を始め、保育士の友人などにも「パネルシアターを始めたので保育園で披露するから、良かったら声をかけて!」とPRしていました。ある時、相模湖の与瀬保育園から上演の声がかかり「保育ウィークの一環として行いたいので、30分くらい上演してほしい。」ということでしたが大変困ってしまいました。なぜならば一人でお話しながら、音楽を流したり絵人形を動かしたりするものですから、短時間のものならできるのですが、30分という上演時間を一人でこなすのはかなり大変です。これは仲間が必要と思い、ふじの幼稚園の図書ボランティアの仲間に「こういう活動をしているんだけど手伝ってくれないかなあ。」と声をかけたら快く手伝ってくれることになりました。その他に近所のお母さん達にも声をかけて今のメンバーの6人が揃い、昨年、グループとして新たなスタートを切りました。
グループ名の由来を教えてください。
親しみやすいように漢字と片仮名はやめようということになりひらがなで考えました。また、何をしているグループかわかりやすいように“おはなし”ということばも入れました。“わたぼうし”には3つの意味があります。
一つ目は声がかかったら飛んでいく。
二つ目は公演を見てくれた人の心に何か残す。種まきをするイメージ。
三つ目はわたし以外のメンバーがふわふわと柔らかいイメージなので(笑)
メンバーの方は小さいお子さんを育てながら、またお仕事をされながら活動をしていると伺っていますが何か工夫などをしていますか?
6人のメンバーのうち3人が仕事をしているので、連絡にはメールを活用しています。年間を通して活動がありますが、私一人でも上演できる内容なら他のメンバーの都合がつかなくても依頼を受け、それ以外はメンバー3人の都合がつけば依頼を受けることにしています。
また、実際の公演当日も、メンバーは会場へは現地集合、現地解散の方法を取っています。私は比較的自由が利くので先に会場に行って準備をしていますが、他のメンバーは子どもの幼稚園の送迎もあるので、公演時間に間に合うように各々で会場入りしています。それと子育て中のメンバーがいるため、公演当日に自分の子どもの具合が悪くなり、活動できなくなる場合を考慮して、上演レパートリーについては、どのお話のどの役もメンバー全員が演じられるよう心がけています。だから小さなお子さんがいるメンバーも、実際の活動に出られなくてもいいので、新作の練習時には来てもらいます。どんな風にお話が流れて行くかメンバーの動きなどを見てもらうことで、いざという時にピンチヒッターにもなってもらえます。
いろいろと活動の工夫はしていますが、一番の支えは、練習や打合せ、上演本番当日など度重なる外出にも理解を示し、背中を押して送り出してくれるメンバー全員の家族だと思います。時には小さい子の子育てをしてお母さんのいない留守を預かってくれるなど「わたぼうし」の心強いサポーターとして家族の方々には本当に感謝しています。
公演する上で気をつけていることはありますか?
一番気をつけているのは、舞台と観客である子ども達との距離を出来る限り近くすることです。パネルシアターという特性上、舞台が大きくないものですから「前の人の頭で見えない」「遠くて聞こえない」ということのないようにと思い、1回の上演での観客も20人くらいになるようにしています。先日の幼稚園のお楽しみ会で行った場合も、同じ内容のものを3回に分け、1回の人数を絞って上演しました。そうやってお子さんとの距離を縮めることで、ゲームやテレビなど機械から流れてくる音が氾濫している中、子どもたち一人ひとりに生の声を届けられ、また子どもの反応も間近に感じることができます。
また、小さいお子さんですと飽きてくることもあるので、合間に手遊びを入れるなどの工夫もしています。幅広い年齢の子どもたちに対応するには、まだまだ勉強することがたくさんあるなと感じています。
今後の抱負をお聞かせください。
今後は子どもたちだけでなく、幅広い年齢の方々を対象に公演ができたらと思っています。それにちょっとした旅がてらにいろいろな場所へ行って気軽に公演したり、おばあちゃんになっても長く続けたいね、とメンバーとは話しています。
買い物で街に出ると、公演を見てくれたお子さんたちに出会う時があります。「どこかで見たおばちゃんだなー」とこちらをじっと見ているのですが、公演時に一緒にやった手遊びの振りなどをやってみせると「わたぼうしさんだ!」と手を振ってくれたりします。こんなふうに子ども達の心に残っていることを実感することが長く続けたいと思う原動力になっています。
インタビューを終えて
何か依頼をするといつもすぐに「無理」とはいわず、快く引き受け、受け止めてくださる小池さん。小さなお子さんがいるメンバーさんたちにとっては子育ての先輩としても頼りになる存在です。メンバーさんの赤ちゃんをおぶって上演する姿、小人数の団体への公演も心をこめて上演してくれる姿を拝見すると、いつも温かな気持ちをいただいています。「おはなしわたぼうし」への公演依頼がありましたら、市社協藤野地域事務所(042-687-3361)までお問い合わせください。