長谷川 久清さん(2012年6月)
パラボラ相模原代表 長谷川 久清さん
パラボラ相模原は、相模原市内で障害のある方や高齢者を対象としてパソコン教室を運営するボランティア団体。長谷川久清さんは10年ほど前から活動に参加し、現在は代表を務められています。
受講者の状況に応じてパソコン操作の支援方法を工夫するIT支援の達人であり、また、「いつの日か、アルプス縦走を」と夢に描くほどの登山好きという活発な人です。
本日は、そんな長谷川さんにパラボラ相模原が運営する「みなみ教室」(南保健福祉センター)でお話しを伺いました。
パラボラ相模原の活動について教えてください。
パラボラ相模原は、相模原市を中心に、障害のある方や高齢者がパソコンを使うためのサポートを行っている市民ボランティア団体です。具体的な活動には、7つの教室運営と、個人宅に訪問してパソコンの接続、設定、操作指導などを行う「個人訪問サポート」、相模原市主催の視覚障害者向けIT講習会のお手伝いなどがあります。
会の運営は、年会費2,000円と会の活動に賛同下さる方のご寄附をはじめ、行政や各種団体が主催するパソコン講座へ協力した際に頂く謝金などで賄われています。
パラボラ相模原の名前の由来について教えてください。
会の名称『パラボラ』は、「パラボラ・アンテナ」を語源とし、常にアンテナを障害者のほうに向け、情報を敏感に受信し、そしてきめ細かな情報やサポートを発信する、そんな高い理念を目指して名づけられました。パラボラアンテナのように障害者の発する小さな声もとらえようという熱い想いが込められています。
長谷川さんがこの活動を始めたきっかけを教えて下さい。
パソコンと付き合い始めたのは、会社を定年退職してから、ハローワークのパソコン実務講座で勉強したことがきっかけです。講座で学習したことを何かに生かしたいと考えていた時に、パラボラ相模原のパソコンサポーターの募集と養成講座が目に留まり、視覚障害者へのパソコン支援活動に入っていきました。
パラボラ相模原の活動を通して長谷川さんが得たものは何ですか。
当初、私は、無償で活動を行うというボランティアの活動自体に違和感がありました。というのも、サラリーマン時代は、働いてお金をもらうことは当然のことであり、対価のない労働を行うという発想がなかった上に、「世の中そんなに甘くない」とまで考えていました(笑)。
しかし、定年退職して毎日が日曜日のようになり、「働く」という意味を改めて考えるようになりました。お金よりも大切なもの、例えば、健康、仲間づくり、人と人とのコミュニケーションなどといった社会生活では当たり前のことも次第に疎遠になり、何かアクションを起こさなければと気づいたころに出会ったのが、パラボラ相模原の活動でした。
活動を行う中で、パソコンでEメールを作成する方法を教えていた目の不自由な方が、自分でタイプした“初メール”を、「わたしの初めてのメールです。ありがとうございました」と、私宛に送信してくださったときは、パソコンサポーターで本当に良かった、この感動はお金に代えがたいと感じました。
この経験から、ボランティア活動は確かにお金にはなりませんが、人間関係を保ちつつ健康な第二の人生を送るにふさわしいと感じたのです。
活動の中で大事にしていることは何ですか。
例えば、障害者にパソコンを教えるサポーターとして一緒に活動したいという方の中には、パソコンの技量・技術が劣っているから勉強する必要があると言ってためらう方がいます。しかし、私たちの活動は、パソコンの技量以前のところにあると思っています。
つまり、社会の中でハンディのある立場にある人たちとコミュニケーションをとっていくことができるやさしさが重要あり、ボランティアに求められる資質であると考えています。このやさしさこそがパラボラ相模原の活動の根底に流れている理念と思っています。
今後、パラボラ相模原としてどのような活動を行っていきたいですか。
今後、本当にパソコンを必要としている人たちの掘り起しを行っていきたいと考えています。どれほど良い活動を行っていてもその人たちに届かなければ意味がありません。私たちの活動の情報が必要としている人に届くように、積極的に活動の紹介を行っていきたいと考えております。
また現在、パソコン教室を受講している高齢者や障害者の方たちも将来のサポーターになってもらえればとも考えていて、実際に少しずつですが、障害者のサポーターも増えています。ハンディのある方たちが教える立場にたってこそ、パラボラ相模原の理念にふさわしい取り組みだと思います。
最後に、長谷川さんの夢をお聞かせ下さい。
山登りが好きで、定年退職後、新潟の親不知からアルプス山脈を経て静岡まで縦走したいと考えていましたが、この活動に出会って実現できていないうちに、丹沢山系に登るのも息が上がるようになってきました。でもいつの日か、アルプスを縦走したいですね。
インタビューを終えて
「パソコンボランティアの活動は、人と人との融和を保ちながら、自分も豊かになれる素晴らしい活動だと思います。そして何よりもみんなが楽しく、達成感が持てるのがよいですね。」と素敵な笑顔で語って下さった長谷川さん。教室でもたくさんの受講者の方に囲まれていた姿が印象的でした。入会を希望される方は、以下のフォームよりどうぞ。
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