加藤 大聖さん(2015年9月)
加藤 大聖(かとう たいしょう)さん
南区松が枝町在住
親子を対象に、音楽でつながり合う場を企画する「おとのわ」に参加しているバリトン歌手の加藤大聖さん。
市社協の社会福祉大会やファミリーサポートセンターのコンサートでも活躍され、「相模原には若い音楽家がたくさんいること、そしてクラシックは難しくないと知ってもらいたいですね」と笑顔で話されます。
音楽の道に進んだきっかけは何ですか。
小学2年生から高校3年生まではサッカーをやっていて、高校時代はFC町田ゼルビアのユースチームに所属していました。姉の影響で小学3年生からピアノを習っていましたが、練習が嫌いで高校1年生で辞めてしまいました。高校1年生の時、有志とコーラス部の協力から成る合唱団でコンクールに出場したのですが、その後いつのまにかコーラス部に入っていました。朝と夕方にコーラス部の練習に出て、夜はサッカーの練習に行くという生活でした。あの時が一番体力がありましたね(苦笑)
高校2年生でソロコンクールに出場し予選を通過したのをきっかけに専門的なレッスンを受けるようになりました。その後進路を考えていた頃に当時コーラス部の嘱託顧問をしていた先生から「東京芸術大学を受けてみれば」と薦められ、大学で音楽を学ぼうと決めました。
演奏会の様子 |
「おとのわ」活動のきっかけは何ですか。
中学、高校の同級生だった須山瑞希(すやま みずき)さんと「自分たちが育った相模原で何かできないか」と相談し、若い音楽家の紹介と音楽による地域の活性化を目的に「おとのわ」としてふるさとコンサートを企画するようになりました。メンバーは相模原出身の音大生や卒業後概ね5年以内の若手演奏家で構成され、毎回少しずつ変わります。
始めた頃は自分も経験も浅かったのですが、協賛先から小さいお子さんに何か発信するようなコンサートを企画してはどうかと提案され、主に小学生までの子どもたちを対象とした「ふるさとコンサート 午前の部」を企画するようになりました。
ファミリーサポートセンターのコンサート |
「おとのわ」活動で楽しいこと、難しいことはありますか。
コンサートが終わったあとに「楽しかった」と言われることが嬉しいですね。一見すると「クラシックは難しい」と思われがちですが、親が集中していれば子どももしっかりと聴いていますね。演奏が一方的にならず、演奏者と聴き手が対話できるコンサートを目指したいです。
市社協のファミリーサポートセンター主催のふるさとコンサートでも行いましたが、終演後には子どもたちにステージに上がってもらい、楽器に触れる場面も設けています。子どもたちは楽器に触ったり、音が自分自身で出せない楽器(サックスなど)は間近で音を聞くなどして楽しんでいます。
子どもたちの楽器体験 |
音楽を通して伝えたいことは何ですか。
音楽は目に見えませんが、人の心を時には勇気づけ、時には慰めることもできます。そしてその瞬間を会場で共有することができます。それは言葉では言い表せないような本当に素晴らしい体験です。音楽は(特にクラシックは)難しいと思われがちですが、決してそんなことはありません。その人の感じるままに受け取ってもらえればそれでいいのですから。「クラシックはわからない」と言われてしまうと悲しいですね。わかるものではなくて感じるものだと思います。
今後の目標はありますか。
一人でも多くの方と素晴らしい音楽体験を共有していきたいです。
そしてふるさとコンサートを行う南市民ホールが人であふれるのを目指していきたいと思います。いつか地域の小学生~高校生とも一緒にステージをつくってみたいです。
インタビューを終えて
インタビュー後日、加藤さんがヴォイストレーナーを務める「相模原市民混声合唱団」の定期演奏会に伺い、音楽に包まれる時間を全身で味わいました。加藤さんら若手の音楽家による様々な活動やコンサートから、音楽の輪が広がると素敵ですね。