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奥山 博之さん(2008年5月)

奥山博之さん

奥山 博之(おくやま ひろゆき)さん
昭和42年八王子市生まれ。
福祉系大学を卒業後、一般企業に入社。その後、日野市-の盲重複障害者施設を経て、介護老人保健施設グリーンヒルズ相模原内の大沢在宅介護支援センター(現、大沢地域包括支援センター)に就職。社会福祉士とケアマネジャーの資格を有し、相談援助業務に従事。現在大沢地域包括支援センター管理者

 

一般企業に就職することで、福祉職としての視野を広げたかった

福祉に関心を持たれたきっかけは何だったんですか?

福祉系の大学に進学しようということは、高校生の時にすでに決めていました。 母親が毎日のように祖父を病院に連れて行っている大変そうな姿をなんとなく見ていて、何か手助けでも出来ればという思いがありました。でも、正直なところ、一般売上を上げていったり、営業で成績を伸ばしたりっていうのは自分には向いてないかなと思ったんです。福祉なら自分の性格にも合っていて、「やさしさ」を生かせるのではと思い、福祉系の大学に決めたというのがあります。

でも、なぜ、大学卒業後、一般企業に就職されたんですか?

福祉の大学に進学したので、いずれは福祉の仕事に就こうと思っていました。さっきの話と矛盾するようですが、福祉の大学を出てそのまま福祉分野の仕事だと視野が狭くなるかなと思ったんです。
福祉ってやっぱり「やさしい」世界ってイメージがあるじゃないですか。
そうじゃなくて、一般企業の厳しい世界も経験しておこうかなと思いまして。
結局3年半程勤め、退職後、日野市の盲重複障害者施設に就職しました。

 

住み慣れた家で、その人に合わせた支援を

盲重複障害者施設を退職されたのはどうしてですか?

入所している方を個別に考えている施設だったんですけど、食事や入浴、終身時間など施設側の都合がどうしても出てしまい、やはり限界がありました。
できれば、その人に合わせた支援をしたいという願いがあり、そんな時、現在の職場と出会いました。

現在、お仕事は、どのようなことをやってるのですか?

大沢地域包括支援センターに勤務していますが、地域の高齢者への総合相談、権利擁護、介護予防に関する相談などに応じ、身近なところで保健や福祉サービスが総合的に受けられるよう取り組んでいます。こういう施設は、市内2か所の在宅介護支援センターを含め22か所あります。大沢地区には4,600人強の高齢者がいらっしゃいまして、日々相談に応じております。

 

自分はたいしたことなくても、すごい人を知っていればいい

現在の仕事のやりがいや魅力はなんですか?

自分ひとりでがんばるのではなく、他の人と協力して仕事をするところですかね。必要に応じて市役所のいろいろな課の職員の方と相談していく中で仲良くなったり、病院のソーシャルワーカーさんと仲良くなったりとか、今ではドクターとも親しくさせていただいています。ドクターって、かしこまるイメージがあったんですけど利用者のためだと思えばへっちゃらで、ドクターとも気軽に話が出来るようになり、どんどん自分の世界が広がっていくっていうところがとても楽しいですね。

様々な相談を通して、関係機関や地域の方との連携を実践されているわけですね。

そうですね。そうやって相互の専門性を尊重し、他の専門職の方々と連携・協働することで、自分はたいしたことなくても、すごい人を紹介できて、それで利用者の方のお悩みが解決できればいいかなと思っています。

逆に、つらいことや悩みなどはありますか?

地域包括支援センターは「何でもご相談ください」などとPRしているんですが、十分お役に立てないこともあったりして、情報提供ぐらいしかできなかったという場合は、つらいというか申し訳ないなと思いますね。

相模原市の福祉への理想など、お考えがあればお聞かせください。

在宅介護支援センター時代のことですが、他の市町村では、介護支援専門員と兼務で1人体制のところを、相模原市では少ないエリアでも1.5人体制にしてくれていたなんてことがありました。 だから、これからも相模原市独自の考えで福祉を充実していって欲しいですね。政令指定都市に向けて、全国に先駆けて国はこうだけど相模原市はこうやってるんだよ、なんてものがドンドン出てくるといいですね。

 

福祉一筋も良し、だけど他での経験がさらに自分を成長させてくれることも

福祉職を目指している方へのメッセージはありますか。

福祉も専門職、職人の仕事なんだって思うんですよ。ぼくらが就職する頃って熱意とやさしさがあれば、なんて感じがあったと思うんですけど、今はホントに専門職って思うので、だから福祉一筋っていうのもとても良いと思います。 でも、いろいろな仕事をして、全然関係ない仕事をして、福祉の職に就けばその分視野が広がったり、受け入れる側としてもとっても心強いと思うのですが。 機会はいくらでもあるから、いろいろ見て経験して、それでまた福祉に戻って来てくれるなんてことがあってもいいんじゃないかな。

最後に社協への要望などがあればお聞かせください。

私が現職に就いたのは平成12年ですが、なんかイメージでいうと随分遠慮しているのかなぁという印象です。 介護保険を例にとっても、制度だけでは多様なニーズには対応できないというのは、何年か経って十分分かったことで、社協さんが元々持ってる力っていうのが絶対必要だと思います。だから遠慮しないで、これからも社協さんには、もっともっと引っ張っていって欲しいと期待しています。

 


今までの経歴や多くの相談援助業務で培われたご経験や知識から、丁寧に分かりやすくお応えくださった奥山さん。お話の節々で感じた温厚さや誠実さは、ソーシャルワーカーとして求められる資質ですが、何より、人としての「やさしさ」と福祉への「熱意」をお持ちだなということを感じました。

いろいろな人との関わりの中で、自分の世界の広がりを見出したことや、社会に貢献できるやりがいのある職としての魅力などのお話しは、福祉を志す方や若い職員に参考になるのではないでしょうか。

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