川瀬 勝子(かわせ まさこ)さん
昭和17年生まれ 緑区鳥屋出身
城山町の家庭保育福祉員として昭和57年から勤め退職後、子育てに悩む母親達の相談の場所として、平成15年より自宅を開放して「おうちに遊びに来ませんか」を月1回開催している。子育てに関わるボランティア活動を中心に、地区社協の原宿地区地域福祉推進委員会委員や傾聴花みずき等のボランティアとして高齢者施設を訪問するなど幅広く活躍している。趣味は社交ダンス。
「おうちに遊びに来ませんか」を開催する前は何をされていましたか?
城山町の時代に町のお仕事で家庭保育福祉員というのがありました。保育ママと呼んでいたんですが資格は子育てを終了した者でした。私も2人のこどもを育てあげましたから、私にも出来ると思って仕事につきました。対象年齢は生後2ヶ月から3歳までで今の時代のように育児休暇等があまり整備されていませんでしたので、働いているお母さん方で保育園に入れられずにいた方々が対象でした。家庭保育福祉員には3人まで保育することができたので多いときには3人の乳幼児のお世話をしました。
「おうちに遊びに来ませんか」をはじめたきっかけは何ですか?
家庭保育福祉員の仕事で定年を迎えました。家庭保育福祉員をしているときに、働いているお母さん方がこどもを引き取りに来るのですが、「ちょっとゆっくりしていったら」と声をかけると喜んで家に上がり30分程度おしゃべりをしていきました。そこでは育児をはじめとし、様々な悩みなどを聞いてあげるだけで「すっきりした。明日から仕事がんばれます。」と帰っていく姿を見て、仕事を通じて社会とつながりのある母親でさえ、いろいろ愚痴や悩みを話せずに抱えているのだから、きっと自宅で子育てをしている母親は誰にも愚痴もこぼせずに悩んでいるのではないか、とずっと思っていました。
この疑問が解消できず、当時町と町社協が実施した子育て支援講座に参加し質問したら「家庭の中で子育てをされている方の中には、誰にも相談できずに行き詰って悩まれている方はたくさんいます。その方たちのために何でもいいから始めてください。」と言われました。
その講座の後、保健師と社協職員の方に呼ばれて、「子育てに悩むお母さん方を紹介したい。川瀬さんの家に遊びに行ってもらってもいい?」と聞かれ、「すぐにいいよ」と返事を返しました。そして紹介された方々が集まってくるようになりました。
半年ぐらい経ってから、毎月定期的に集まりたいとの要望を受けて名称・場所・時間を決め実施することになりました。また、他にも同じような悩みを抱えている方がいるだろうと町の広報紙にも掲載していただきました。
実際にはどのようなことをされているのですか?
参加条件は特にありません。毎月第二水曜日の午前10時から午後5時まで自宅を開放して開催しています。平均10組ぐらいの参加があるので台所と2部屋使って実施していますが、参加者が多いときには玄関の土間にござを敷いています。
活動自体は特別に何かしているわけではありません。母親同士でいろいろ悩み・愚痴や世間話をしながら情報交換していますし、こども達はこども同士で遊んでいます。みんなが集まってホッとできるような場であればいいと思います。
私は事故のないように目配りをしていたり、子育てした経験からのアドバイスをしています。実際に育児に自信がなく相談してくる方もいますが、「あなたの育児は間違っていないよ、私もそうやっていた。」というだけでも自信がもてるようになる方もいます。
開催しているときにこられなかった人からは電話で相談や近況報告などもあり、私自身少しは役にたっているのかな、という感じがします。
最近では高尾・長竹・古淵・相原等からも来る方がいて、口コミやこどもセンターなどにおいてあるチラシ見て参加される方がいらっしゃいます。
継続されている秘訣のようなものはありますか?
特別なことをしているという意識はないんです。ごく当たり前のことをごく当たり前にしているだけなんですよ。私自身無理しないで自然体で皆さんと接しているから、参加者も気兼ねしないで来れるんではないでしょうか。
活動していてうれしかったことは何ですか?
こどもが小学生になって参加しなくなった方からお手紙をもらったり、「こどもいないけど遊びにいってもいい?」というよう電話をいただいたり、また来たいと思ってくださる方がいるということがうれしいです。
また、母親同士帰りがけに「実家に戻って来たようだったね。」と会話しているのを聞いて、やっていて良かったなあと感じます。
つい最近ですが、家庭保育福祉員時代にお世話したお子さんから、仕事をして初めての給料日に「お花が好きだったから」とわざわざお花を届けていただいたことも感激しました。
最後に
私は何気ない会話の中に結構重要なことが隠されていて、それを引き出して解決するために人と人をつないだりしていくことが必要だと思っています。
また、実際に解決できなくても話せたことだけで気持ちがすっきりして帰っていく親子の姿を見ています。気軽に話せたり相談に乗れるような場を提供しているだけですが、これからも気負わないで自然体で続けていくつもりです。