大滝英史(おおたき えいじ)さん
障害福祉サービス事業所 「ウディ―ショップ きこり」
機関紙「かわら版」編集長
「ウディ―ショップ きこり」では、糸鋸やジグソーで木を切り、ヤスリで磨き、色を塗ってオリジナル木工製品を作成。また、「社会活動」として、不法看板撤去・地域清掃をはじめ、木工ワークショップの指導、おもちゃの広場の開放などを行っています。
「かわら版」は、きこりの活動や職場の様子を地域に伝える機関紙。昨年から大滝英史(えいじ)さんが編集長を務め、地域との輪を広げています。
編集を始めたきっかけは?
昨年11月、2泊3日の宿泊行事に向かう道中、前編集長から「かわら版の編集をしてもらえないか」と相談されました。実は1か月ぐらい悩んだんですよ。しばらく文章を書いていなかったし、きこりの良さを上手く伝えられるかとても不安でした。でも、今年2月に第8号を発行し、近隣の人たちや支援してくださる人たちに送ったら「活動の様子がとてもよくわかる」と喜んでもらえました。この「かわら版」は日頃お世話になっている方へのごあいさつとお礼も兼ねているんです。とてもやりがいがあります。
編集長としての抱負は?
28歳からきこりで働き始めましたが、全く違う世界に足を踏み入れることになったんです。メンバーは主に知的障がいのある人たちで歩けないのは自分だけでした。その中でやっていかれるのかどうか本当に不安でした。でも、いつの間にか仲良くなり、気がついたらメンバーの温かさにどっぷりとつかっている自分がいました。自分自身の性格まで変えてしまうぐらい影響力があって、宝物のような時間です。仲間たちと過ごす楽しい時間をたくさんの人たちに知ってもらい、支援してくださる人を増やしていきたいですね。そして、「かわら版」がご近所との「もちつもたれつ」の関係づくりのきっかけになればと思っています。
みなさんへのメッセージ
ある日、なんとなく聞いていたラジオから、「私たちは誰かに支えられながら暮らしているんですよね、いま着ている服だって誰かが運送してきてそれを着ている。そうやってこの社会ってまわってる訳だから・・・」そんなことを僕はベッドの中で聞いていました。すごく当たり前なことだけど温かく聞こえました。確かにそんな社会にいる私たち。
きこりのみんなはたくさんの方々の支援の中で生活しています。もしかしたら「障害のある人たちは待遇が良くていいわね。」と思われているかもしれません。けれども、私たちも仕事をし、社会の中で精いっぱい自分らしく、生きていこうとしています。きっとそれが生きていくことなんでしょう。
僕らも一市民として皆さんと同じように生きている。そして、お互いに支え合うことが大切。そんな想いを込めた「かわら版」を是非、読んでください。
ゆめ大学で作製したコルクボード |
市社協では、市民の皆様からのご寄附の一部を積み立てた「あじさい基金」の果実をもとに、施設と地域の方々との交流を深めるため「ふれあい交流事業助成」を行っています。
「ウディショップきこり」では、助成金をもとに、毎月2回芸術や環境、科学、異文化などをテーマに教えたい人を講師として、学びたい人は誰でも参加できる「ゆめ大学~ドリームカレッジ」を開催。また、近隣の小学校や学童保育のワークショップで木工指導を行うなどこどもたちとの交流を行っています。
そして、大滝さんがきこりの活動を「かわら版」で地域に広めることによって、多くの人たちとの出会いが生まれ、地域の方々との交流がより盛んになるのだと感じました。第10号の発行が待ち遠しいですね。