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丸 紀雄さん(2008年12月)

丸紀雄さん

丸 紀雄(まる のりお)さん
昭和16年 東京都大田区大森生まれ。
子どもの交通事故が増えてきたことに心を痛め、地元自治会有志の方々と3年前から下校時間の見守り活動を始める。児童の登校日には毎日歩道に立ち、子どもたちの交通安全に目配りするとともに、下校時には全ての児童に「お帰り」と声を掛け、子どもたちとのふれあいの輪を広げています。

 

「ボランティア活動」をはじめる

子どもたちの見守り活動がはじまったきっかけは?

3年ほど前、子どもたちの交通事故が増えてきたことが、すごく気がかりでした。
私も地元に住み始めて41年が経ち、地域に恩返しをしておきたいな、何とかならないだろうかと色々と思案していました。
結論として、地元自治会の総会で「子どもたちの見守りが必要ではないか」という発言があり、思い切って有志で下校時間だけでも見守りをやらないかと呼びかけたのがこの活動のきっかけになりました。
そう言えば、この活動グループの名前はありません。地元の老人会「寿会」と、地元自治会有志の方々と一緒に、毎日コツコツと続けているんですが、皆顔なじみでしたから、同じ気持ちで「集まる」だけで、誰もグループの名前にはこだわりませんでしたね。(笑)

継続のコツ

毎日下校時に見守ることは、とても大変ですね。

とても大変ですよ!!だから、有志なんですよ。(笑)3年間続けていますが、雨の日や風の日もありますから、誰かに強制していてはなかなか続かないと思います。
確かにPTAの皆さんが登校時間の見守り活動をやるように、多くの人に賛同してもらい、交代しながら、この活動が広まる方が理想だと思っています。でも、皆さんもなかなか忙しいですからね。それよりも「井戸端会議」でいいから集まるんですよ。無理のない範囲で、子どもの下校時間に、歩道に大人が出ているだけでも良いと思います。
何か地域で「ふれあう機会」を意識して持とうと思うことが大切なんだと思いますよ。そうしようと、大人が意識しているか、いないか、案外子どもは敏感に感じているのではないかと思いますよ。

子どもたちとの関係

活動を通して得たもの、やりがいは。

何より子どもたちの「あいさつ」ですね。これは、私たち有志の「やりがい」にも通じていることなんですがね。(笑)
3年続けてみて、私たちもあいさつの大切さを改めて感じることができましたし、声を掛け合うことでお互いの信頼感が増すのは、ごく当たり前の事です。それが一番できていないのかもしれないですね。皆、内心はあいさつしたいんだけど、「あいさつ=干渉・余計なこと」という意識の人もいるでしょう。いつからこうなってしまったんでしょうかね。
子どもたちを見守ることで、一人ひとりの変化も感じられますよ。成長して中学生になってもあいさつをしてくれたり、下校時間でなくても、あいさつしてくれたり、結局、お互いの「信頼感」みたいなものが、自然とそうさせているんだと思います。昔はどこにでもそんな「オヤジ」が居たんですけどね。(笑)
あと、子どもたちの下校時の様子を見るだけで、子どもたちが元気かどうか、友だちと仲良くやれているか、良くわかるんですよ。
走って一目散に帰る子どもたちは、きっと習い事や塾に行くので忙しいのでしょう。
大勢で楽しげによそ見ばかりしている子どもたちもいれば、とぼとぼと一人で帰ってくる子は、元気なくあいさつしています。
何が出来るって言う訳ではないのですが、遠くからでも見守っている・見守られている、そんな安心感が地域と子どもたちの間に少しでも築ければ、私たち大人にとってもプラスではないかと思うんです。

地域で支えあうこと

まったくのボランティア(無償)ということですが。

誰からも報酬はもらっていませんよ。(笑)
地域住民の活動なんだから、無理なくやるべきだと思っています。
ただし服装は、私服では「何の人」か、子どもも分からないにで、見守り・防犯用の帽子やベスト(チョッキ)を、学校や自治会関係の団体から支給を受けています。
また、見守り活動をするに当たっては、小学校にも事前に相談に行っています。下校の時間を知らないと、闇雲に立っていることになってしまうので、学校側と調整を行うようにしています。

地域に仲間がいるということ

今後の抱負をお聞かせ下さい。

私たち有志も段々年をとってきています。(笑)ここ3年の活動の中でも、ある男性メンバーの奥さんが亡くなったこともありました。でも、その男性メンバーの人は、そのような時期でも、子どもたちの見守り活動を続けてくれました。
他のメンバーの方も、私用はなるべく午前中に済ませて、雨の日も風の日も、下校時間に合わせて見守り活動を続けてくれています。
有志ですから、大層なことや無理はできませんが、本当に気持ちの良い人たちと一緒に行動できている、仲間でいられていることが、今の私の誇りとも言えます。
私たちに限らず、地域では様々な奉仕活動やボランティア活動をしている人たちは大勢います。でも、あえて難しいことをする必要は無いと思います。井戸端会議でもちゃんと防犯になりますからね。(笑)
これからも、続けられる限りは頑張りますが、子どもたちのため大人が少しでも地域に貢献する「きっかけ」の一助になれたなら、本当に幸せですね。 見守り活動中の丸紀雄さん


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