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小山 恵美子さん(2015年6月)

小山 恵美子 (こやま えみこ)さん
都内の外資系民間企業に勤務する小山恵美子さんは視覚障がいがあり、約20年にわたりアイメイト(盲導犬)と共に生活し、その経験等を小中学校でお話しいただいています。また、民族音楽「フォルクローレ」のバンド「ルミ・マユ・オルコ」のメンバーとしても活躍。小山さんに講師として、そして演奏者として「伝えたいこと」についてお話を伺いました。

 

子どもたち、そして多くの人に伝えたいこと

市内の小中学校で福祉体験授業の講師をお引き受けいただいていますが、いつごろから活動されていますか。

1997年ごろから小中学校でお話させていただいています。
話し始めた当初は、仕事が大学の非常勤講師だったので時間的に余裕があり、協力できたのですが、現在は都内の外資系保険会社でフルタイムの勤務をしています。そのため平日の授業にはなかなか協力することができず心苦しく感じています。

子どもたちにお話するうえで特に気にかけていることはありますか。

私は約20年アイメイト(盲導犬)※とともに生活しています。現在のパートナーはドロシー。私にとって3代目のアイメイトです。
授業で子どもたちの興味はアイメイトに向かいます。
街中で「犬」といっしょに歩いていること自体、とても珍しいことですから、注目がアイメイトに集まり、アイメイトの能力の高さや賢さに興味が集まることは普通だとは思います。
でも、本当に理解してほしいのは私とアイメイトの信頼関係です。そして私のようにアイメイトをパートナーとして同じ地域に生活している人があなたの隣にもいる。それが普通のこと。子ども達には、そのことをなんとなくでいいから理解してもらえるように伝えています。

※アイメイト
国内には11の盲導犬育成団体が存在し、育成団体ごとの基準で事業を実施しています。その中のひとつ、公益財団法人アイメイト協会では盲導犬という「盲を導く犬」と捉えられる呼称では、実際の人と犬とのパートナーシップを言い表せないと考え、「アイは I 私」「アイは EYE 目」「アイは 愛 LOVE」「アイメイトは私の愛する目の仲間」と考え、視覚障がい者と犬との信頼関係や使用者同士の連帯という意味を込め「アイメイト」と呼んでいます。(アイメイト協会ホームページより抜粋)

自分と違う存在を許容する気持ちということですか。

そうです。
子どもたちと話していて感じることは「障がい者=困っている人」という見方です。もちろん不便はありますし、助けてもらうこともあります。
でもそんな私を含めたひとり一人が街の中で生きている。障がいの有無だけじゃなくいろんな人がいることを感じてほしい、そしてコミュニケーションを取ってほしい。
金子みすゞさんの有名な詩にあるように「みんなちがってみんないい」ということですね。

コミュニケーションの部分ではお仕事でも関係があるとのことですが。

私は6年前から保険会社に勤務しており、ダイバーシティの推進部署で仕事をしています。
ダイバーシティは性別や人種の違い、もちろん障がいの有無に限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することです。
具体的には社員の多様性を受入れて働きやすい職場作りに向けた環境整備や研修を行っています。
その中で特に伝えたいと思っているのが「言葉のコミュニケーションの大切さ」。大人も子どもでもほんの一言交わすだけでお互いの理解は進みます。
社員研修等でも相手の立場を考えるうえで言葉でのコミュニケーションが重要であることを伝える努力をしています。「言葉は減るもんじゃない」むしろ使えば使うほど豊かな表現ができるようになると思います。

人と人とのつながりから広がる音楽活動

5月29日の相模原市民生委員児童委員大会(本インタビューは大会前に実施)では講演と演奏をお願いしています。小山さんの音楽活動について教えてください。

子どものころからピアノを習っていて、音楽そのものは身近でした。
そして2000年ごろ、アンデスの音楽である「フォルクローレ」に出会い、ケーナ(南米発祥の縦笛)を習い始めました。この度、演奏させていただく「ルミ・マユ・オルコ」は日頃一緒に練習している仲間の中から自然発生的にできたグループです。グループ名はメンバーの名前から1文字ずつとって、アンデス地方に古くから伝わるケチュア語で表しました。最初は日本語で「石川山(いしかわやま)」と名乗っていたのですが、アンデスと言うよりは褌が似合いそうな名前なので、アンデス風に「ルミ・マユ・オルコ」としました。
特に宣伝はしていませんが、人づてで、いろいろなイベントで演奏させていただいています。市内でもこれまで2回演奏の機会をいただきました。

5月29日の民生委員児童委員大会に向けた意気込みをお願いします。

今回は、民生委員の皆さん全員が揃う、約900人の前で、しかも市民会館大ホールでの演奏。「ルミ・マユ・オルコ」としてこんな大舞台は初めてです。このような機会を頂いたことに感謝しています。
民生委員さんは、日頃から地域の厳しい問題に関わり尽力されている方々です。
そんな皆さんの心が少しでも温まるようなお話と演奏ができればと考えています。

演奏は大好評!小山さんと「ルミ・マユ・オルコ」の皆さんの思いは充分に伝わったようです。

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